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夏時間の庭


監督:オリヴィエ・アサヤス
キャスト:ジュリエット・ビノシュ/シャルル・ベルリング/ジェレミー・レニエ

あらすじ:画家だった大叔父の邸宅に暮らすエレーヌが急逝。3人の子供たちに広大な家屋、貴重な美術品が遺され、ジレンマに悩まされる……。オルセー美術館全面協力で製作された家族の絆の物語。

評価 ★★★★☆

デリカテッセン


監督:ジャン=ピエール・ジュネ, マルク・キャロ
キャスト:ドミニク・ピノン, ジャン=クロード・ドレフュス, リュフュス, マリー=ロール・ドゥーニャ

あらすじ:核戦争終了15年後のパリ郊外を舞台に、“おいしそうな人間”が来るのを手ぐすね引いて待つ精肉店主と、犠牲者にされそうな男の必死のサバイバルを描く。

評価 ★★★★

黄色い星の子供たち



監督:ローズ・ボシュ
キャスト:メラニー・ロラン、ジャン・レノ、シルヴィー・テステュー、ガッド・エルマレ


あらすじ:第2次大戦中の1942年、フランス政府によって行われたユダヤ人一斉検挙。粘り強い取材と綿密な時代考証によって実際の出来事を限りなく事実のままに再現した、骨太の人間ドラマ。

評価 ★★★★☆ 


TOKYO!


監督:ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ
キャスト:藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、妻夫木聡、ドゥニ・ラヴァン、ジャン・フランソワ・バルメ、香川照之、蒼井優、竹中直人
2008年 フランス、日本、韓国、ドイツ

あらすじ:「東京」をテーマに作った、3本のオムニバス映画「TOKYO!」。夢を持っての上京、無差別犯罪、引きこもり、など大都市では珍しくない光景を「恋愛睡眠のすすめ」ミシェル・ゴンドリー、「ポーラX」のレオス・カラックス、「殺人の追憶」のポン・ジュノという、海外で活躍する鬼才たちが映画に創り上げていく。

評価 ★★★★☆

 東京がテーマのオムニパス映画。レオス・カラックス目当てで鑑賞。しょっぱなのオープニングから東京のビル群をアニメで描いていて、外国人から見た変な日本風の映画かなぁと思ったが、意外や意外。なかなか面白かった。この手のオムニパス物に当たりを感じたことがなかったのでちょっと驚き。

 まず一篇目。ミシェル・ゴンドリーの「インテリア・デザイン」。一番東京らしい映画。世界的に有名な東京の交通渋滞からはじまって、人ひとり住むのがやっとなアパートに、路上駐車するとすぐにレッカー移動する警察のがんばり(?)。ビル群の隙間だとか色々東京らしさが出てた。
 映画としても非常に良くできた短編に仕上がってた。田舎から上京してきた女性は、自分の居所が分からず、胸にポッカリと穴が開いたり、足が棒になったりし、最終的に椅子になる。椅子になったことで自分のアイデンティティを確立し、充実した毎日を送る、という文章で書くと、シュールでわけがわからんが、映像で見ると良くできている。
 加瀬亮が妙に理屈っぽくて、彼のイメージにぴったしだった。
 三作品の中で一番面白かった。

 次に、レオス・カラックスの「メルド」。どこまで本気なのかギャグなのかいまいち計りかねる作品。
 マンホールから変な怪人が現れ、東京中を闊歩し大混乱に陥る。しかもBGMがゴジラ。この怪人が食べるのは菊と紙幣。天皇と発展した経済でも皮肉ってるような気がしないでもないが、単なるギャグなんだろうか。
 旧軍の手りゅう弾見つけて、バラ投げて、捕まって、死刑。という単純なストーリーだけど、奥深いような奥深くないような・・・。
 タチの悪いブラックなジョークばかりで、単なる悪趣味な映画を撮りたかっただけなのかなぁ。
 フランス人をぽんぽん出してきたり、ここどこだよっていうような留置所だったり裁判所だったりで東京である意味が無いなぁと思ってたら、ラストシーンでアメリカ編が作られるとのこと。やっぱり東京だろうがアメリカだろうが、舞台はどこでも良かったんだろうなぁ。東京をテーマの映画を撮れと言われて、そんな映画を作ってしまうという、一番のブラックジョークか。

 ラスト、ポン・ジュノの「シェイキング東京」。三作品の中ではいまいち。
 光と影の使い方とか、完璧に整理整頓されている部屋とか、さすがだなぁと思える部分は多かったけど、この映画、単なるショートショートでしかないんだよね。
 引きこもりが外に出てみました。そしたらみんな引きこもってました。それだけ。
 蒼井優のボタンとかもあまり有効に使われてないし、もう一捻りほしかった。
 個人的に、登場人物の心情を独白で喋らせるのが嫌いだから、評価はいまいち。
 映像は、三作品の中でもっとも美しかった。外に出る時の眩しいばかりの太陽光だとか、振り返ったときのツタに絡まった家屋とか、芸術的だったけど、それだけかなぁ。
 あと、日本人は少々の地震では失神しねえぞ!


蛇男 THE SNAKE


監督:エリック・バルビエ
キャスト:イヴァン・アタル、クロヴィス・コルニアック、オルガ・キュリレンコ、ピエール・リシャール、サイモン・アブカリアン
2006年 フランス

あらすじ:フォトグラファーのヴァンサンは妻と離婚協議中。そのヴァンサンを鋭い眼光で睨みつける黒い影、プレンデール。プレンデールは謎の女ソフィアをモデルとしてヴァンサンの事務所に送りこみ、彼を誘惑させる。そしてプレンデールは彼女を仕組んで殺し、ヴァンサンを殺人犯に仕立てあげる。無実を証明するために逃亡し、弁護士を立て反撃に出るが、プレンデールは裏をかき、蛇の如くじっくりと獲物を追いつめ、締めつけていく─。

評価 ★★★★☆

 タイトルはもうちょっとなんとかできなかったんだろうか。「蛇男」て。江戸川乱歩の小説か楳図かずおの漫画にでもありそうなタイトル。
 どう考えてもB級ホラーを連想してしまう。中身は上質なサスペンス映画なんだけど、タイトルで損してるよ。とかいいながらオイラはB級映画かと思って興味を持ったんだけどね。そこら中にある原題通りのカタカナ英語のタイトルよりも好感は持てちゃったりはする。

 内容はフランスの二大スター(?)が共演したクライムサスペンス。さすが、どっちも貫禄のある演技で見応え充分。
 主人公のイヴァン・アタルのほうは雰囲気がジャン・レノに似てる。眠たそうな目してるのも一緒だし。
 ヒロインはエロイ姿を見せてくれるけど、すぐに死んじゃうのが難。

イヴァン・アタル
クロヴィス・コルニアック


 英国人作家デッド・ルイスの「PLENDER」の映画化。ヒット小説なわけでストーリーは非常に良くできている。序盤の展開なんて神がかってる。仕掛けられて罠に落ちていく主人公。見ている側はそれが罠だと分かっているけど、主人公はそんなの分からない。思わず逃げて、と叫びたくなるようなハラハラドキドキ感。適度に意外性のある出来事を挟んで、先の展開が気になって目が離せなくなる。

 犯人の私立探偵。こいつが主人公の自宅で、中学校時代のイタズラを妻の前で笑い話にするシーンは圧巻。後の伏線にもなってるし、内包された狂気が画面の中からヒシヒシと伝わってくる。憎悪を腹の底に溜めて表面では笑っている。怖い怖い。

 で、この犯人の動機が中学校時代のイタズラが原因と分かっちゃってからちょっと盛り下がる。だって主人公に感情移入できなくなるから。自業自得じゃん、と思ってしまう部分もある(だからってこんな復讐はやりすぎだけどね)

 警察に捕まって、窓をたたき割って逃げ出す主人公。普通、取調室の窓って割れないようにしてあるもんじゃないのかね。まあどうでもいいが。
 この逃亡シーンも迫力があった。社会科見学の子供たち、こんなのに巻き込まれて災難。いや、逆にいい見学になったのかな?

 で、主人公は反撃に転じる。犯人の母親の遺体を盗んじまう。この時、主人公は犯人に遺体を返して欲しかったら金よこせ、と電話するが、犯人の対応が格好良かった。
 電話をスッと主人公の息子に代わり、声を聞かせてから「金はやれん」
 息子の命が惜しけりゃ遺体を返せっというセリフを省略して見事に説明しているシーン。この映画、こういう感じの映像での説明が非常に上手いんだよね。

 んでまぁ、後はサスペンス映画の王道の展開を行く。ラストもきちんとハッピーエンドで終わる。二時間の長さを感じさせない高密度の映画。
 なわけだけど、良い映画だからこそ細かい部分の不満が見える。
 例えば、警察から逃亡後、弁護士の奥さんにかくまわれるが、主人公との関係をもっと序盤から描いといてもらわないと。主人公だって警察へ通報しない確信がある場所へ逃げなきゃいけないわけで、まともにふたりが顔を合わせたのって弁護士が死んだ後だけだったので少々不自然。
 
 他にはラストの犯人が思わず自分の犯行を口走って録音されるのも、ご都合主義的な流だったし、警察が廃屋を囲んでいるというのもこれまたご都合主義。

 あと解決後の主人公と家族の関係。家族がクーラーボックス(?)の中から救出したとき主人公は息子を一番に抱き上げる。が、娘と嫁には一切かまわない。嫁とは仲違いしてるから良いんだけど、娘のことも心配してやれよ。男親だから息子が可愛いのは分かるけどさぁ・・・。
 で、救急車に乗り込んで何故か、嫁が主人公の手を握って関係修復を示唆。何故? 命がけで家族を守ってくれて見直したってことか? それにしてはこれも都合が良すぎる。
 というか家族の離婚調停はあまり効果的に使われていなかったなぁ・・・。

 細かい部分に不満はあるけれど全体としてみれば非常に良くできている。テンポも良く演出は素晴らしい。オススメの一品。

アメリカン・ビューティー


監督:サム・メンデス
キャスト:ケビン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ、ミーナ・スヴァーリ、ウェス・ベントリー 
1999年 アメリカ

あらすじ:中年男レスターが、ある日娘の親友に一目惚してしまい…。隣家に新しい住人が来た事で崩壊していく家庭をシニカルに描く。

評価 ★★★★☆

「アメリカン・ビューティー」アメリカの美。「美」を描いた映画。
 登場人物は皆、アメリカのどこかにいそうな平凡な人々。胸の小ささに悩み、両親とギクシャクしてる典型的なティーンエイジャー。妻や上司に見下されても家庭のために我慢を続けてきた中年男。やり手のキャリアウーマンとしては働くが実は全く商才の無い妻。
 隣家は、頑固な退役軍人にヤク中の息子。
 ティーンエイジャーの娘は、美人のヤリマン女と親友。
 ホームドラマにでもなりそうなありふれた人物設定だけども、それぞれの「美」の価値観が普通とは大きく違っている。
 主人公ケビン・スペイシーは、娘の親友に「美」を感じ、妻は不動産の王様のような金と力に「美」を感じ、隣人の息子は風に舞う紙袋に「美」を感じ、娘の親友は文字通り外見的な美しさを「美」と感じ自分が外面的に美しいからこそ男性が寄ってくるのだと嘘を吐く。たりとそれぞれ、心の内に秘めたる「美」は様々。
 表向きはありふれた人物達だが心の中は独特である。
 また、最終的には彼らは「美」を手放すことになってしまう。

 主人公は、娘の親友を初めて見たとき、妄想の世界に突入し、服をはだけさせ胸をさらけだそうとしたとき乳房が見える直前にバラが飛んだ。ラストシーン、娘の親友との性交が果たせそうだというとき、あれほど出し渋った乳房を露わにさせたがそこからバラは飛ばない。そして彼女は処女だということを告白する。女の色気に「美」を感じていたが、実は単なる純真なティーンエイジャーに過ぎなかったことが判明し、主人公はそれを「美」と感じなくなった。

 妻は、不動産王との不倫がばれ距離を置かざるを得なくなる。「美」を失った妻は夫に殺意を抱くが、最終的には夫の死を嘆き悲しむ。本当の自分の「美」は夫だったのだ、と。

 隣人。ゲイに異常なまでの嫌悪を抱いているが、これは同族嫌悪であった。自分が潜在的にゲイだったからこそ、同じゲイを憎んだ。息子がゲイだと知って追い出すが、それを悔い隣家の主人公に自分をさらけだしゲイという「美」を求めた、が拒絶された。

 隣人の息子は、風に舞う紙袋を「美」に感じる変人。主人公の娘が窓辺でトップレスになっても、彼のビデオカメラは乳房を微塵も写そうとしない。むしろ乳房を避けるようにして、胸より上部をアップで撮ろうとする。

 娘の親友は、自分がセックスアピールに優れていることを誇示する。それが自分の美しさを示しているのだと固く信じているのだ。言葉通りの「美」であるが、主人公との性交の直前に、処女だとの告白。彼女は自分の「美」がまやかしだと主人公に知られるわけである。

 こうした「美」に固執し、「美」を手放した人々の惨劇。アメリカの原題社会の闇なんてものは日本人には理解できない。ただし、美しさというものは万国共通であると信じている。その「美」は容易には手に入らず、「美」のために容易に破滅へと導かれる、異様な恐怖を感じさせる。

屋敷女


監督 ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
キャスト ベアトリス・ダル、アリソン・パラディ、ナタリー・ルーセル、フランソワーズ・レジス・マルシャソン
2007年 フランス

あらすじ クリスマス・イヴの真夜中、出産を控えた妊婦サラは見知らぬ女の訪問を受ける。女は大きなハサミを振りかざし、サラに襲いかかり……。

評価 ★★★★☆

 後味が悪いなぁ~。良い意味で見たあとにズシンとくる。まあ無駄にハッピーエンドされるよりはこういうののほうが個人的には好きなんだけど。

 大抵のスプラッター映画は殺人鬼が淡々としてて殺人が作業のようになっていたりするが、本作では、殺すことに必死になってるのが面白い。主人公に返り討ちにされて、悔しくてゲシゲシとドア蹴ったり叫んだりする子供じみたところも好き。(猫には八つ当たりしないで欲しかった・・・)

 主人公の女性は妊婦という弱い立場の女性。しかも出産を直前に控えているという、殺そうと思えばすぐに殺せるような人間だが、屋敷女のほうは、主人公を殺してしまっては赤ちゃんを奪うという目的が達せられないので、殺さないように痛めつける必要がある。それが周囲の人間はバタバタと死んでいくのに、何故か主人公だけはなかなか殺されないという理不尽なホラー映画の常道に違和感を持たせないようにしている上手い設定。

 映像面でも、序盤に胎内にいる胎児や、タバコといった細かいところに印象を抱かせておいて、ラストにそれらを効果的に使うというさすがおフランス映画と思えるほど映像の使い方が上手い。

 80分ほどしかない短い映画でやや小さくまとまってしまった感じはあるが、緊張感を途切れさせることなくノンストップですすんでいき飽きさせることは決してない。

 この殺人鬼の屋敷女、設定やらファッションやら好きなんでシリーズ化して欲しいけど・・・無理だろうなぁ。

トゥルーマン・ショー


監督 ピーター・ウィアー
キャスト  ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー、ノア・エメリッヒ
1998年 アメリカ

あらすじ 平和な街に暮らす平凡な保険会社セールスマン・トゥルーマン。だが彼の暮らす環境は、どことなく不自然だ。それもそのはず、実は彼の人生は、隠しカメラによってTV番組「トゥルーマン・ショー」として世界中に放送されていたのだ。

評価 ★★★★☆

 この映画を見ると筋肉少女帯の「小さな恋のメロディ」を思い出す。

あたし今日ね 昔の映画を見たの
小さな恋のメロディよ
ねえ二人はさぁ
トロッコに乗って逃げてくの ラストシーン

メロディ メロディ メロディ あの二人が
メロディ メロディ メロディ どこへ行ったか
メロディ メロディ メロディ あなた わかる?
メロディ メロディ メロディ きっと地獄なんだわ


 「小さな恋のメロディ」は映画が終わった後、子供のカップルはどこへ行ったのか。筋肉少女帯は、きっと地獄だ、と歌っている。
 トゥルーマン・ショーでは映画が終わった後、一体どうなったのだろうか。ジム・キャリー演じるトゥルーマンは、作り物の世界から現実の世界へと逃げ出すことができたのだが、それが本当に幸せなのだろうか。作り物の世界では愛する妻がいる、年老いた母と父がいる、子供の頃からの親友もいる。気の良い隣人に、リストラされないよう気を使ってくれる同僚。顔なじみの売店の店主。そして、空には自分の本当の生みの親ともいえる番組プロデューサーがいるのだ。疑似世界とはいえ、そこには充実した人生が存在している。むしろキリスト教的な創造世界として、こちらの疑似世界のほうが現実と呼べるのかもしれない。それならプロデューサーは「神」となるわけか。
 しかし、現実の世界ではどうだろう。
 学生時代、恋仲だった女性がいるだけで、父も母も友人も、守ってくれる存在はなにひとつしていないのだ。
 周囲の人間は一日中バーや風呂でテレビをみていくら登場人物に感情移入してようが、その番組が終わればすぐに次の番組を探すような者ばかり。
 そんな現実世界に幸せは待っているのだろうか。
「神」が地上を支配している作り物の世界か「神」の存在しない荒廃した土地か。トゥルーマンは後者を選んだ。それは一見するとハッピーエンドに見えるのだが本当にそうなのか。
 トゥルーマンは、ラストシーンのあといったいどこへ行くのだろうか。地獄でなければいいのだが。

エイリアン


監督 リドリー・スコット
キャスト トム・スケリット、シガニー・ウィーバー、ヴェロニカ・カートライト
1979年 アメリカ

あらすじ 2087年、資源を積んで地球に帰還する途上にあったノストロモ号は、ある惑星で正体不明の地球外生命体に遭遇。

評価 ★★★★☆

 古典的なSFホラー。「古典」と言わざるを得ないほど本作が公開されて以降類似品が数多く作られた。それほどの名作。
 といってもやはり一昔前の映画。もちろん現在も色褪せて見えないだけの魅力はあるが、どこか古めかしい所を感じさせる。
 ストーリーは、当時では新鮮だったSFホラー。その頃はSFを題材にしたモンスター映画はゴジラのようなアクションが主流だったが、エイリアン以降は、SFホラーが主流となった。

 教科書通りとも言うような王道のストーリー展開。どんでん返しや意外性は無い。
 一応エンディングはいくつか撮られたようであるが、無事帰還できるという1番無難なエンディングが採用されることとなった。他のエンディング候補には、リプリーがエイリアンを退治し、睡眠装置に入った後、エイリアンがリプリーの顔を覗き込んでいるといったものや、猫にエイリアンが寄生していたというバッドエンドもの。
 猫エンディングだったらもっと評価は上だったかもしれないが、当時ですらそれほど馴染みのないSFホラーに、救いようのないストーリーにしちゃったらヒットしてなかったかもしれないし難しいところ。

 演出面では光が非常に効果的に使われている。ラスト近くの爆破間近のシーンでは常にライトが点滅を続けている。よくホラーシーンで、登場人物の鼓動を聞こえるようにする演出があるが、それを光でおこなっているようなもの。闇と光が交互に現れるのは非常に心理的に圧迫を与え恐怖心を増大させる(ただ目が疲れるけど)

 あと、ラストシーンのシガニー・ウィーバーの下着姿が妙にエロイ。

プレデター


監督 ジョン・マクティアナン
キャスト アーノルド・シュワルツネッガー、カール・ウェザース、エルピディア・カリロ、ジェシー・ベンチュラ
1987年 アメリカ

あらすじ 捕虜となった政府要人を救出するため、南米のジャングルに派遣されたシェイファー率いるコマンド部隊。捕虜奪取に成功した彼らに突如何物かが襲いかかる……。

評価 ★★★★☆

 個人的にシュワちゃん主演映画の最高傑作。
 序盤はホラーとは一切無関係な、捕虜救出作戦の軍事アクションからはじまる。それでも見てる側にとってはジャングルのどこかにプレデターが潜んでいるのが分かるように演出してあるので、不気味な緊張感が漂う。やっぱりホラーは、モンスターを直接出してしまってはいけないな。いつ出るか、どこにいるのか分からないのが1番怖い。そいう描写はジャパニーズホラーの専売特許なわけだが、この作品もそれに負けず劣らずといった感じ(言い過ぎか)

 中盤以降には、シュワちゃんとプレデターのタイマンアクションになるが、このへんも潔し。
 ホラーなんてのは、導入部を作るのは簡単で中盤以降の、モンスターとの対決部分が最も腕の見せ所となる。
 モンスターと戦うのを主眼に置くか、逃げるのを主眼に置くか、或いは逃げまどう人間同士の醜さを描くか……。
 この映画は、中盤以降ホラー映画であることを放棄しちゃってる。どこに潜んでいるか分からない恐怖から、どうやってシュワちゃんが未知なる敵をやっつけるのか、にテーマが変わってしまっているわけだが、その移行は特に違和感なく見せているのが上手いところ。
 ホラーであることに徹していたら、駄作呼ばわりされていたに違いない。

プラネット・テラー in グラインドハウス


監督 ロバート・ロドリゲス
キャスト ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン、ブルース・ウィリス
2007年 アメリカ

あらすじ テキサスの田舎町。米軍の悪人部隊長の生物兵器実験により、謎のウィルスが飛散。感染した町の人々は凶暴なゾンビと化して暴れ出した……。

評価 ★★★★☆

 ゾンビ♪ゾンビ♪ゾンビ♪


 深く考える必要もなく頭空っぽにしてすっきりと楽しめる名作(褒めてますよ)。
 序盤は、テンポの悪いB級ホラー臭がプンプンするんだが、中盤以降はA級をも凌駕するB級アクションになってる(褒めてますよ)
 おいおい、無茶苦茶だろ、と突っ込みたくなるシーンが多すぎるが、映画の醸し出すオーラが異様なほどの説得力を持たせているので突っ込むのが野暮だと気付く。
 足に機関銃つけようが、キンタマが腐ってズルッと地面に落ちようが、ベッドシーンのフィルムが盗まれてようが、全てがこの映画の魅力となって活きている。


足に付けた機関銃で撃ちまくる美女の図。


ブリッジで弾を避ける美女の図。

 アクションはこうでないといかんというお手本のような映画。ただ、少々グロすぎるのが玉に瑕……。

フロンティア


監督 ザヴィエ・ジャン
キャスト カリーナ・テスタ、サミュエル・ル・ビアン、エステル・ルフェビュール
2007年 フランス、スイス

あらすじ 国の不安定な情勢に乗じて事件を起こした若者たち。国外への脱出を目指し、国境近くに見つけた宿の扉を開くが……。

評価 ★★★★☆

 血みどろ♪血みどろ♪


 おフランス産スプラッター映画。とにかくフランスは芸術が好きな国。絵画だとか建築はもちろん、ファッションなんかも芸術的。で、映画は第七の芸術と呼ばれている。ちなみにテレビ番組も漫画も芸術呼ばわりされてる。
 だからかは知らないがフランスの映画はどこか気取ったところがあって、この映画も例外ではない。

 最初からいきなりドキュメンタリータッチの暴動シーン。フランスで社会問題化している移民系の暴動を連想させる。で、主人公達も移民系。殺人一家は異常なほどの民族主義者(ナチだけど)。主人公が宿に泊まってからも、移民系だと気付く前と、気付いた後では対応が180度変わっている。このあたり、フランスでの移民に対する迫害という問題を提起しているようである。
 が、単なるスプラッター映画に無理矢理政治的な問題を詰め込もうとしたせいでストーリー上でおかしな所も出てくる。
 異常なまでの民族主義者が移民系の女性に自分の血を引いた子供を産まそうとするところだ。他に子供を産ませるような女性が見つからなかったのかもしれないが頑固そうなオヤジがそんなところを妥協するとはおもえない。娯楽に徹しきれなかったせいで、映画の質が落ちてしまうというフランス映画の悪い癖が出ている。
 しかし、不満点と言えばそれぐらい。他の部分は非常に良くできている。
 特に、殺人一家が典型的な殺人者ではなく、きちんと個性を持たせているのが面白い。
 三男坊のデブや買われてきた少女などは人間的な一面を見せたり、次男坊が長男に対抗意識を抱いたり、母親がひとりで飯食えないような状況だったり(虐待でもされたか?)家庭内でも色々な問題があるのがこの映画の一筋縄ではいかないところか。

 気に入ったのはデブの三男坊。時折見せる優しげな眼差しがカワイイ。オーブン(?)のようなところに閉じ込めて蒸し焼きにしようとするが、あんまりかわいそうなので中から出してやり、苦しまないようひと思いに銃で撃ち殺してあげるほど優しい心の持ち主(優しいか?)
 その三男坊に恋をしている少女。この子が映画にグッと深みを持たせてる。両親が向けにくるのを待つ自分は、自分の子供を殺すことができず坑道に隠す。自分が両親から愛情を受けるかわりに、自分の愛情を子供に注ぐ。この母性愛、素晴らしい。

 グロテスクの描写はやや緩めではあるが、申し分なし。王道だけどひと味違ったスプラッター映画を見たい人には是非お勧めしたい映画。

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オー・ブラザー!


監督 ジョエル・コーエン
キャスト ジョージ・クルーニー、ジョン・タトゥーロ、ティム・ブレイク・ネルソン、ホリー・ハンター
2000年 アメリカ

あらすじ 1930年代、ミシシッピー州の片田舎。3人の囚人が、隠しておいたお宝を掘り出す為に脱走。彼らの旅はハプニングの連続。歌手デビュー、伝説のギャングの車に乗ったりと…。

評価 ★★★★☆

 こういう映画を見る度にアメリカ人に産まれたかったなぁと思ってしまう。古き良きアメリカ、ほんわかとした田園風景に、カントリーやブルース。四つ辻で悪魔に魂を売り渡すギタリストだとか、どこか憎めない強盗。アメリカに産まれてたらもっと感動できたんだろうなぁ……。
 でも良いとこばかりを描いた映画というわけでもなくKKK団のようなカルト的な宗教(?)を出してきたり、負の部分を描いているが、それも暗い雰囲気にならずコミカルなので楽しんで見れる。

 しかし、アメリカの文化風俗面が強くおし出され「オッデセイア」をモチーフにするという予備知識が無いと完全に楽しめず、合わない人には単なる退屈な映画としかおもえないところがマイナス。

ロードキラー


監督 ジョン・ダール
キャスト ポール・ウォーカー、スティーブ・ザーン、リリー・ソビエスキー、テッド・レヴィン
2001年 アメリカ

あらすじ ハイウエイを車で飛ばすルイスとフラー。二人のちょっとした悪ふざけから、トラックの運転手を怒らしてしまい、命を狙われる羽目に……。

評価 ★★★★☆

 スピルバーグの「激突」を思い出してしまう作品。つーか作り手も意識してただろうなと感じさせるシーンもちらほらと。
 使い古された設定に、珍しくもない演出方法。そう書くと駄作のように見えるが、過去作をお手本にして、上手く名作として仕立てあげられている。
 この手の映画は悪者が出てくる序盤が退屈なのだが、この作品は、兄弟の会話が面白く飽きさせない。被害者にとってはまさに許し難い行為だがまわりから見てる分には楽しい、高校生のような悪ふざけも面白かった。(命を狙われて自業自得と思っちゃったりするが)

 役者も良いし(特に兄貴)、脚本もしっかりしてるし(元は小説)特に不満の無い作品。

 ちなみにエンディングは複数作られていて、DVDに収録されている。なるほど、作り手のこだわりが見える感じがした。

ヒルズ・ハブ・アイズ


監督 アレクサンドル・アジャ
キャスト キャスリーン・クライラン、アーロン・スタンフォード、エミリー・デ・レイヴァン
2006年 アメリカ

あらすじ ある一家がトレイラーで砂漠を横断中、故障により砂漠の中で立往生することに。だが核実験場に近いその荒地には、放射能によって突然変異を起こした食人一家が住んでおり……。

評価 ★★★★☆


 ウェス・クレイブン監督「サランドラ」のリメイク作。

 メガネの兄ちゃん格好いい!
 最初のほうでは一番頼りなさそうで性格も悪そうでヤナ奴だったけど、後半の奮闘ぶりには興奮した。畸形人間をやっつけるときの斧の向きをクルリと変えるシーンなんか最高!
 ただ、グロシーンがすこし控えめなところが気になった。いや、他の映画に比べたら控えめでもなんでもないんだが、アジャ(コングじゃないよ)監督の前作「ハイテンション」に比べるとインパクトに欠けた。「ハイテンション」では何度も何度もナイフで切り刻んだり、アキレス腱に刺さったガラスを引っこ抜いたり、アイタタタタなシーンがふんだんに盛り込まれていた。
 本作はどうもそういうのがない。熱いアクションに死に様が少々グロイといった程度。
 そうした点で期待はずれなところもないではなかったが、なにより兄ちゃんの熱さにやられたので問題なし!
 グロイホラー映画というより、熱い復讐劇として見るのが正しいのかもしれない。

8人の女たち


監督 フランソワ・オゾン 
キャスト ダニエル・ダリュー、カトリーヌ・ドヌーブ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニーアルダン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、リュディヴィーヌ・サニエ
2002年 フランス

あらすじ フランスを代表する女優たちを主演に、クリスマスを祝うために家族が集った大邸宅で起こった殺人事件を機に、疑心暗鬼になる8人の女性の姿を描くサスペンス。

評価 ★★★★☆
 フランスらしいおしゃれで、どこか斜に構えた感じのする映画。
 出演者は全てフランスの有名女優で固められている。男性は、チラリと登場する父親の死体姿だけ(悲惨)
 だけど女性特有のドロドロした内面を書かれているので、あまり華やかさは感じない。
 元々、原作が舞台劇だと言うこともあってか、ミュージカル仕掛けになっているがこの歌と踊りがこの作品の見所だ。ひとりにつき一曲、きちんと披露してくれるので誰かに肩入れしてても、裏切られることはない。

 で、リュディヴィーヌ・サニエのミュージカルシーンが素晴らしい。子供っぽい活発さが可愛らしく、ついついにやりとしてしまう(ただオイラが好みなだけかも)


 ヴィルジニー・ルドワイヤンも可愛らしくて良いね。


 やっぱり女はフランス人にかぎる(なんのこっちゃ)

たみおのしあわせ


監督 岩松了
キャスト オダギリジョー、麻生久美子、原田芳雄、小林薫、大竹しのぶ
2008年 日本

あらすじ 奥手な息子と過去を引きずる父親が、麗しきマドンナとの結婚という一大イベント成就に向けて奮闘する。

評価 ★★★★☆

 よく練られた脚本。無駄なシーンが無くよくできている。

 母を若くして失ったオダギリジョーと、父を若くして失った麻生久美子。ふたりがうまく対比して描かれている。
 オダギリは母を理想の女性として胸に抱いている。
 そのため、見合いをしては母と比較してしまうため、結局話はまとまらないし、父が恋人を作っても、それも母と比較して遠ざけてしまう。ラストシーンでは、大竹しのぶを父の再婚相手、自分の母親として相応しくない姿を見てしまい、ショックを受け逃げ出し、最終的には母の幻影を追って姿を消してしまう。
 対して麻生久美子は、理想の男性を原田芳雄と重ね合わせている。
 麻生が初めて原田と会ったときも「囲碁が好き」と言っていた。が、実際にはズブの素人であるオダギリと対局して負けてしまう程度の腕前だった。囲碁が好き、というのは嘘だったわけで、それは原田の気を引くためだったのだろう。他にも、原田のために会社の送別会を抜け出してきたり、誕生日プレゼントに「瞳」のネーム入りのネクタイをあげたり、結婚式当時に抱きついたりと、いずれも義理の父に対する行動とはおもえない。
 

ネーム入りのネクタイを見て驚く原田



 亡くなった片親を忘れることのできないこのふたりだが、決定的に違うことがある。それは「愛情」の方向性だ。
 オダギリは母に対する愛情は心の奥底、深層心理として存在しているだけで、表面的には「父」を愛している。自分のせいで父は再婚ができず、食事の用意、洗い物、掃除等の家の仕事を全て父がひとりですることとなっている。
 この自分が犠牲になって父の幸せを奪っている、という罪の意識がどこかにあるために結婚すれば父が再婚する障害は無くなると考えていたに違いない。
 大竹と小林薫のキスシーンを見て衝撃を受けたのは、父が大竹と結婚できない、という意味の衝撃であり、自分だけが結婚してしあわせになるのに、父はふしあわせのまま、ということが許し難かったために、逃げ出してしまったのだろう。
 このオダギリの行動は全て父親への愛情が現れているのだが、母の浴衣を着た麻生に、母の姿をダブらせて欲情したり、ラストシーンで父を放っておいて母の幻影を追いかけたりと、深層では父よりも母を愛しているように思える。
 瞳はひとえに「父」のみを愛していた。それが恋愛としての「愛」か博愛としての「愛」かははっきりと描かれていないが、原田は結婚式の日に抱きつかれたときに恋愛の「愛」を感じ取ったのだろう。
 そして、「父」を求めるために結婚をする瞳、「父」のしあわせを願うために結婚をするオダギリ。このふたりの関係に違和感を感じ、破綻すると原田は考え、オダギリのしあわせのために逃げ出すことを考えたのだろう。
 

ケンカするほど仲が良い、ふたりの関係を端的に表したシーン



 だが、結局このふたりはしあわせになれたのだろうか?
 ラストシーン、教会から逃げ出すシーンは映画「卒業」のパロディとなっている。
 卒業では、望まぬ結婚を行おうとする女性を、男性が連れ出すわけで、愛し合ったふたりが結ばれるハッピーエンドなっている。
 「たみおのしあわせ」では、愛し合っていない者同士が結婚をしようとしている、という点は卒業と一致している。親子の愛ではあるが、愛し合っている者同士が連れだって逃げ出すというのも一致してる。
 だが、決定的に違うのは、ラストに母親の幻影が現れるところである。
 ここでオダギリは父を放って一目散に母を追いかける。これは父よりも母を愛していることを表している。
 オダギリは「母さん」と呟き、原田は息子を呼び止めようと「民男」と叫ぶ。
 オダギリは母を愛し、原田は息子を愛している。両者は愛し合っていない。卒業のようなハッピーエンドとはなっていないのだ。
 ラスト、母親は背の高い茂みへ姿を隠す。それでもオダギリは躊躇無く後を追い茂みの中へ入る。姿が見えなくても、どこへ行ったか分からなくても追いかけずにはいられない母への愛。
 父は、そんなオダギリが茂みの中へ入っていったのを見て、こちらも躊躇無く後を追いかける息子への愛。
 高くて先の見えない茂みは、その愛している相手をつかまえることができないことの暗示だろう。
  死んでしまった母の幻影を追いかけるオダギリ。そのオダギリを追いかける父。決してふたりはしあわせになることはない。いったい「たみおのしあわせ」はいつくるのだろうか……。いつくるかわからないまま、そして夏がきた……。