トゥルーマン・ショー


監督 ピーター・ウィアー
キャスト  ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー、ノア・エメリッヒ
1998年 アメリカ

あらすじ 平和な街に暮らす平凡な保険会社セールスマン・トゥルーマン。だが彼の暮らす環境は、どことなく不自然だ。それもそのはず、実は彼の人生は、隠しカメラによってTV番組「トゥルーマン・ショー」として世界中に放送されていたのだ。

評価 ★★★★☆

 この映画を見ると筋肉少女帯の「小さな恋のメロディ」を思い出す。

あたし今日ね 昔の映画を見たの
小さな恋のメロディよ
ねえ二人はさぁ
トロッコに乗って逃げてくの ラストシーン

メロディ メロディ メロディ あの二人が
メロディ メロディ メロディ どこへ行ったか
メロディ メロディ メロディ あなた わかる?
メロディ メロディ メロディ きっと地獄なんだわ


 「小さな恋のメロディ」は映画が終わった後、子供のカップルはどこへ行ったのか。筋肉少女帯は、きっと地獄だ、と歌っている。
 トゥルーマン・ショーでは映画が終わった後、一体どうなったのだろうか。ジム・キャリー演じるトゥルーマンは、作り物の世界から現実の世界へと逃げ出すことができたのだが、それが本当に幸せなのだろうか。作り物の世界では愛する妻がいる、年老いた母と父がいる、子供の頃からの親友もいる。気の良い隣人に、リストラされないよう気を使ってくれる同僚。顔なじみの売店の店主。そして、空には自分の本当の生みの親ともいえる番組プロデューサーがいるのだ。疑似世界とはいえ、そこには充実した人生が存在している。むしろキリスト教的な創造世界として、こちらの疑似世界のほうが現実と呼べるのかもしれない。それならプロデューサーは「神」となるわけか。
 しかし、現実の世界ではどうだろう。
 学生時代、恋仲だった女性がいるだけで、父も母も友人も、守ってくれる存在はなにひとつしていないのだ。
 周囲の人間は一日中バーや風呂でテレビをみていくら登場人物に感情移入してようが、その番組が終わればすぐに次の番組を探すような者ばかり。
 そんな現実世界に幸せは待っているのだろうか。
「神」が地上を支配している作り物の世界か「神」の存在しない荒廃した土地か。トゥルーマンは後者を選んだ。それは一見するとハッピーエンドに見えるのだが本当にそうなのか。
 トゥルーマンは、ラストシーンのあといったいどこへ行くのだろうか。地獄でなければいいのだが。

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