TOKYO!


監督:ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ
キャスト:藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、妻夫木聡、ドゥニ・ラヴァン、ジャン・フランソワ・バルメ、香川照之、蒼井優、竹中直人
2008年 フランス、日本、韓国、ドイツ

あらすじ:「東京」をテーマに作った、3本のオムニバス映画「TOKYO!」。夢を持っての上京、無差別犯罪、引きこもり、など大都市では珍しくない光景を「恋愛睡眠のすすめ」ミシェル・ゴンドリー、「ポーラX」のレオス・カラックス、「殺人の追憶」のポン・ジュノという、海外で活躍する鬼才たちが映画に創り上げていく。

評価 ★★★★☆

 東京がテーマのオムニパス映画。レオス・カラックス目当てで鑑賞。しょっぱなのオープニングから東京のビル群をアニメで描いていて、外国人から見た変な日本風の映画かなぁと思ったが、意外や意外。なかなか面白かった。この手のオムニパス物に当たりを感じたことがなかったのでちょっと驚き。

 まず一篇目。ミシェル・ゴンドリーの「インテリア・デザイン」。一番東京らしい映画。世界的に有名な東京の交通渋滞からはじまって、人ひとり住むのがやっとなアパートに、路上駐車するとすぐにレッカー移動する警察のがんばり(?)。ビル群の隙間だとか色々東京らしさが出てた。
 映画としても非常に良くできた短編に仕上がってた。田舎から上京してきた女性は、自分の居所が分からず、胸にポッカリと穴が開いたり、足が棒になったりし、最終的に椅子になる。椅子になったことで自分のアイデンティティを確立し、充実した毎日を送る、という文章で書くと、シュールでわけがわからんが、映像で見ると良くできている。
 加瀬亮が妙に理屈っぽくて、彼のイメージにぴったしだった。
 三作品の中で一番面白かった。

 次に、レオス・カラックスの「メルド」。どこまで本気なのかギャグなのかいまいち計りかねる作品。
 マンホールから変な怪人が現れ、東京中を闊歩し大混乱に陥る。しかもBGMがゴジラ。この怪人が食べるのは菊と紙幣。天皇と発展した経済でも皮肉ってるような気がしないでもないが、単なるギャグなんだろうか。
 旧軍の手りゅう弾見つけて、バラ投げて、捕まって、死刑。という単純なストーリーだけど、奥深いような奥深くないような・・・。
 タチの悪いブラックなジョークばかりで、単なる悪趣味な映画を撮りたかっただけなのかなぁ。
 フランス人をぽんぽん出してきたり、ここどこだよっていうような留置所だったり裁判所だったりで東京である意味が無いなぁと思ってたら、ラストシーンでアメリカ編が作られるとのこと。やっぱり東京だろうがアメリカだろうが、舞台はどこでも良かったんだろうなぁ。東京をテーマの映画を撮れと言われて、そんな映画を作ってしまうという、一番のブラックジョークか。

 ラスト、ポン・ジュノの「シェイキング東京」。三作品の中ではいまいち。
 光と影の使い方とか、完璧に整理整頓されている部屋とか、さすがだなぁと思える部分は多かったけど、この映画、単なるショートショートでしかないんだよね。
 引きこもりが外に出てみました。そしたらみんな引きこもってました。それだけ。
 蒼井優のボタンとかもあまり有効に使われてないし、もう一捻りほしかった。
 個人的に、登場人物の心情を独白で喋らせるのが嫌いだから、評価はいまいち。
 映像は、三作品の中でもっとも美しかった。外に出る時の眩しいばかりの太陽光だとか、振り返ったときのツタに絡まった家屋とか、芸術的だったけど、それだけかなぁ。
 あと、日本人は少々の地震では失神しねえぞ!


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