ホネツギマン


監督:J・トッド・アンダーソン
キャスト:マイケル・ラパポート、マイケル・ジェター、ジョン・キャロル・リンチ、アリヤ・バレイキス
1998年 アメリカ

あらすじ:イーサン・コーエンが出世作『ファーゴ』の次に脚本を手掛けたカルト映画。人体模型柄のスーツに身を包むヒーローが活躍する復讐劇。

評価 ★★★★★

 最高!

 こういう映画大好きだわ。ブラックなジョークだったり、気の狂った登場人物達。どこか普通とは違う世界観。B級映画スレスレなんだけどB級映画ではない。カルト映画はこういうのがあるから見るのをやめられないんだよね。

 主人公は両親とケンカして家を飛び出し、プロレスラーと整体師という二足のわらじで生活している。で、恋人と結婚して子供が出来たのでそれを機に家へ帰り両親と仲直り。両親の向かいの家に住むことになる、毎朝手を振るよ、なんて小学生の子供みたいな事を嬉しそうに言いまくる。が、主人公が不在の間に両親と恋人が殺される。すると主人公気が狂っちゃて、暴れまくる。
 という非道い話なんだけどそこに悲劇性はほとんどない。どちらかというと喜劇仕立てにしてあるんだがそれを違和感なく見せる見事な演出。

 この映画、大半がキャラクターの魅力でもっている。
 主人公自体が、理科実験室にある標本みたいな柄のタイツを着てプロレスするわ、親父に整体師になりたいと説得するときも古代ローマがどうのと、わけのわからんことを言い出す始末。あとで背骨をキチンとすれば悪い人はいなくなるという新興宗教の教祖みたいなことまで言い出しちゃう非常に危ない人物。

 何か刺さっているけど気にしてはいけない


 主人公、途中で精神病院へ入院させられることとなるが、この病院の職員もなんだか狂った人ばっかり。こういうところイーサン・コーエンが関わってるんだろうなぁ。たぶん。


 悪役は、足の悪い障害者。松葉杖つかなきゃ歩けない。店にスロープがなかったらブチ切れちゃう危ない奴。


 もうひとりの悪役。プレスリーのコスプレ男。口数が非常に少ない。ピーナッツバター、ベーコンサンドイッチ、サンキューベリーマッチ。このセリフばかりが印象に残る。


 刑事役にヨレヨレのおっさん。この手の一見してダメそうな刑事は、ラストのほうで実は切れ者だったんだと活躍するシーンがありそうなものなんだが、最初から最後までやる気のなさそうなヨレヨレ刑事で押し通されている。
 ちなみに上司は絶対に電話でしか登場しなかったりする。


 刑事の相棒とは息がぴったり。刑事がハンドルから手を離せば、即座に相棒がハンドルを握る。唸りたくなるほどのコンビネーションプレイ(?)


 ストーリーはかなりご都合主義というか、適当なところがある。主人公もほぼ最後まで気が狂ったままなのに、何故かうまいこと復讐を果たせてしまってるし、バイク乗りのねーちゃんの存在の意味があまりなかったりするし・・・。
 回想シーンなんかの演出も非常に安っぽさを感じさせるが、そんな細かいことはどうでもいいと感じさせるだけのパワーがある。

 きれいにまとまった映画よりも、こういうひとつ飛び抜けた物がある映画が凄く好きだなぁ。

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