めがね


監督:荻上直子
キャスト:小林聡美、市川実日子、加瀬亮、光石研、もたいまさこ、橘ユキコ、薬師丸ひろ子
2007年 日本

あらすじ:春先の風の強い日、タエコは海辺の小さな町に着いた。 暫しの間、見知らぬ場所で、誰にも邪魔されない時間を過ごす為に・・・・。

評価 ★★☆☆☆

 眠たくなる映画だなぁ。何か作業するときにBGM代わりにつけとけば良い感じかもしれない。まあ、穏やかな気持ちにさせるのが目的みたいな映画だからそれでいいのかもしれないが。
 あくせく働いた後に、一人でこの映画見たら泣いちゃうかもしれない。流行りのスローライフとでも言うのかな。
 個人的には、この舞台となった民宿よりも、もう一つのマリンパレスっつー自分で畑を耕すホテルの方が好きだったりするけど。枕元で起きるのを待ってる婆さんがいたり、メシはみんなが揃って食べるのが当たり前だったり、変な朝の体操はさせられるわあんまり泊まりたいとは思わない。なんかこう、数十年前のヒッピーの臭いがするというかなんというか。

 ストーリーはあってないようなもの。メシ食って、たそがれて、話して・・・それだけ。衝撃的な事実が発見されるわけでも、大きな出来事が起こるわけでもない。主人公の正体すら明かさないという徹底ぶり。民宿の雰囲気があれば良いんだよ、他のは無駄、という監督のメッセージが聞こえてきそう。

 それでもストーリー上に暗喩がちりばめられている。例えば、サクラさんの自転車の荷台に乗った主人公。主人公が荷台に乗ろうとするとサクラさんがメチャクチャ怖い顔をする。で、持っていたトランクをその場に置いて、乗る。
 これなんか、トランクを現実世界の執着物として描かれ、それを捨てることでサクラさんの側の人間になったというのを表しているのだと思う。
 荷台に乗ったのを他の登場人物に羨ましがられるのも、トランクという執着を捨てる決断ができ、サクラさんに認められたことを、羨ましがっていたんだろう。
 また序盤では民宿の主人は、主人公の持ってきたトランクを部屋には運び込まずに放置した。これは俗世間の物を持ち込むな、という現れになってたりするのかな。

 他にも色々な暗示的なシーンが描かれているんだけど、どうも作り手の自己満足で終わっているの多いと思われる。加瀬亮が突然ドイツ語(?)を喋りだすシーンなんかがそう。ドイツ語なんて聞いても理解できないよ。後で何らかのフォローでも入るのかな? と思ってたけど、それっきりだった。見る側を無視しすぎてないかなぁ。

 あと、メシをこれでもかっつーぐらい強調してたけど、南国の島らしくない料理ばっかりってのは意図的なんだろうか?
 伊勢エビは良いとして、焼き肉だとか、シャケだとか、目玉焼きとか。一度も海の魚を食べなかったのは意味があるのか?序盤に冷蔵庫開けて、タイを目にした主人公が慌てて冷蔵庫を閉める、というシーンと何か意味があるのかな? 深読みすればありそうだけど。

 登場人物の、どこかよそよそしいような演技は、最後まで慣れなかった。敬語ばかり使ってる登場人物だったり、会話が微妙にずれてたり、芝居っ気たっぷりのセリフだったり、どこか浮世離れしている。

 雰囲気や空気感というのは非常に良くできている。見終わった後はアクビでも出そうな映画なんだけど、二、三日経ってから思い返すと、非常に印象に残っているそんな映画かなぁ。好き嫌いは別れそうだけど。

 で、結局めがねはあんまり意味が無かったのね。

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