アイス・エイジ


監督:クリス・ウェッジ
キャスト:レイ・ロマノ、ジョン・レグイザモ、デニス・リアリー
2002年 アメリカ

あらすじ:舞台は氷河期の地球。性格も思惑もまったく異なるマンモス、ナマケモノ、サーベルタイガーの3匹が、人間の赤ちゃんを家族のもとへ届けるための旅を通じて友情を築く。愉快で心温まる冒険の物語。

評価 ★★★☆☆


ディズニー製のCGアニメ。ディズニーらしく、親子愛をテーマにコミカルに氷河期を描いている。不自然なほどに血の描写を避けており、悪役との戦闘でも血は一滴も出さない。子供と大人が揃って安心して見られる映画を目指したんだろうけど、反面、物凄い残酷な描写も多かったりするのだが、それがわざとなのかどうなのかよく分からん。
 例えば、劇中のギャグはナマケモノが担当しているわけだが、ほとんどのギャグが非常に暴力的。ナマケモノの頭を叩いてケラケラと赤ん坊が笑ったり、間欠泉に吹き飛ばされて笑ったり、とナマケモノが痛い目に合わせて笑わせようとしている。間抜けでドジなキャラクターだけど、他に笑いの取りようはあるだろうに。血を描写しないぐらい子供に気を使ってる癖に、どうしてこういうところは無頓着なんだろうか。
 他にもドードー鳥が、一生懸命集めたスイカを主人公達が横取りするが、ドードー達はガケから落ちたり、溶岩(?)の中に落ちたりと、バタバタと死んでいく。笑えねえよ。
 そもそも、あのスイカはドードー鳥の物だ。それを腹を空かした子供がいるから、という大義名分を掲げれば全てが許されるのか。自分を正当化して他者を悪者扱いするところはアメリカ人の悪い部分だ。
 ドードーといい、ナマケモノといい、ちょっと頭の悪い奴には何しても笑い事で済まされるという非常にタチの悪い映画なのだが、血を絶対に描写しないというチグハグぶり。残酷にしたいのか残酷にしたくないのか。
 ストーリーでは、親と子の関係を描いているわけだが、サーベルタイガーもマンモスも子供が人間に殺されている。両者は復讐を考えるか、考えないかの違いでしかないのに一方的にサーベルタイガーが悪者となっている。一番悪いのは人間じゃねぇの?
 しかし、この人間。子供を失ってもサーベルタイガーのように復讐をしようともしないし、マンモスのように群れとはぐれてひとり北へ向かって子供を捜そうとしたりはしない。何もせずに仲間と一緒に他の村へ向かっていたら運良くマンモスが子供を連れてきてくれてハッピーエンド。一番悪いはずの人間が、一番何もせずに、一番良い思いをしてるってどうなのよ。

 それに主人公のマンモス。もっと性格をどうにかしてくれ。序盤ではヒョウが降ってるというのにナマケモノを家の中へ入れさせようとしないし(シュレックに似たようなシーンあったな)子供を発見した時は放置して先へ進もうとしたし、ツンデレっぽい性格ならきちんとデレの部分を見せてくれなきゃ感情移入なんかできやしない。単なる無愛想な奴としか思えなかった。

 まあ色々、アメリカ人の独善的な部分が垣間見える映画ではあるけれど、何も考えなければそれなりに楽しめる映画。こういう氷漬けの宇宙船のセンスなんかも大好き。
宇宙船


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