パリ・ディストラクション


監督:シャーロット・ブランドストーム
キャスト:クレア・ボロトラ、ティエリー・ヌビック、デビッド・ブレコートクララ・ル・コール、アラディン・レイベル
2006年 フランス

あらすじ:遺伝子実験により凶暴化したネズミが逃げ出し、パリの下水道で爆発的な繁殖を続けていた。数百万というネズミの大群により花の都はウィルスに侵され、人間たちの必死の攻防が始まる。

評価 ★☆☆☆☆

 ネズミ大量発生によるパニック映画。同じ題材の作品に西村寿行の滅びの笛という小説がある。こちらはオイラの大好きな作家さんの作品で思い入れも強い。この小説を読んで以来ネズミが好きで好きでたまらなくなったわけで、ネズミ映画の類はどれも期待してみるわけだが、見事に期待を裏切られた・・・。

 まずこの映画、パニック映画だけどもあんまりパニックになってない。ネズミに咬まれたらウイルスに感染するそうだが、映画内では感染者がほとんど描写されない。主人公の娘とホームレスとネズミ駆除のおっちゃんとスイミングプールのおばちゃんぐらいか、映像に出てくるのは。他の感染者は会話でさらっと言うぐらいで、ウイルスがどの程度の脅威なのかさっぱり。ウイルスの潜伏期間も、ネズミ駆除のおっちゃんは三日ぐらいだけども主人公の娘は、一日で発症してる。発症してからもどれぐらいで死んじまうのかさっぱり分からんので緊張感がまるでない。

 ウイルスを撒き散らす以外にも、ネコを丸ごと食ってしまうぐらい凶暴化したネズミだが、何故か人間は襲わない。ネズミの巣探索に行っても、じっとしてりゃネズミに襲われない。怖さなんてありゃあしない。終盤でも軍隊の兵隊さんがネズミがてんこもりになってるところに落下したが無傷(?)で救出されてるし「死の恐怖」が描かれていないのでパニックになろうはずがない。

 というか終盤までネズミの巣探索(それもお偉いさんに対策を取らせるためでしかない)するばかりでウイルス対策もネズミ駆除もほとんど無視。ウイルスのほうは、ご都合主義的に解決したし(どうしてあのネズミだけ抗体持ってたの?)ネズミ駆除は軍隊任せ人任せ。唯一、主人公が頑張ったネズミの巣探索も別に危なくもなんともなく、なんとなく解決しちゃったってだけのストーリー。

 ラストの爆破もやりすぎだ。あのプールが民間施設か公共施設かしらねえけど、明らかに火薬の量間違えてるよ。それに時限式にする必要もない。全員が建物の外へ出てからスイッチポチ、で良かったのにあえて時限式にしてしかも中に人がいる状況でカウントダウンをスタートさせる意味が分からない。そもそも、火薬じゃなくても殺鼠剤で充分だったんじゃないか。

 突っ込みどころは色々あるし、なんだかメロドラマ風の甘ったるい恋愛劇はあるわで面白くない。大量のネズミを使って撮影頑張ったんだろうなぁという感想しか出てこなかった。

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