パコと魔法の絵本


監督 中島哲也
キャスト 役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮
2008年 日本

あらすじ 奇妙な人ばかりが集まるとある病院に、偏屈な大富豪・大貫がいた。嫌われ者の大貫はある日、交通事故で両親を失い、後遺症で1日しか記憶がもたなくなった少女パコと出会う。パコとの出会いで自分の人生を見つめ直す大貫は、彼女にとある提案をする…。

評価 ★★☆☆☆

 好き嫌いがはっきりと別れそうな映画。映像や演出のクセが強すぎる。「下妻物語」程度なら良いんだけど、はっきり言ってこの映画はいきすぎ。手から星降らせたり、いちいちアニメチックな効果音流したりとか、独特な世界観を作りすぎてる。独特すぎてついて行ける人間といけない人間がはっきり分かれる。

 映像の作り込みはさすがだなぁと思う。職人的なこだわりが見られるシーンが多々ある。だけども、本当にそれは必要なのか? と疑問に思う部分も多々ある。
 例えば、序盤の館。ハワイアンダンス踊ってるのは良い。だけど、そこにゆうたろうの写真なんか必要か?
 部屋にエヴァンゲリオンや銀河鉄道999のポスターなんか必要か?
 不可思議な世界観には合っているかもしれないけれど、映画の舞台は、日本なのか静養なのか分からない、現代なのか過去なのか未来なのか分からない、そういう漠然とした世界なのだ。それは星新一が、どこの国のどの時代の人間が読んでも通用するようにと通俗性を徹底的に排除したのと対照的である。
 本作も、ファンタジーの絵本の世界としてそうすべきであったはず。それなのに、日本でしか通用しないようなアニメのポスターを貼ったり、人生劇場のコマを使ったり、ドリフのコントでザリガニ魔神をやっつけたり、と現代の日本人にしか分からない描写が数多く存在する。
 これは内輪ウケである。分かる人間は笑えるが、分からない人間にはさっぱり。分からない人間に説明をしようとも、なるべく分かるようにしようという努力を欠いている。見る側を無視して、自分の好き勝手な事をやっているという印象しか持てない。演出や映像のクセが強い、というのもそうした監督の「暴走」が原因ではないかと推測する。

 それにしても、出てくるギャグにほとんど笑えなかった。笑いのセンスが古いというかなんというか・・・。

 アヤカ・ウィルソンは可愛いかった。さすがに表情のバリエーションが少なかったけれど子供にそこまで言うのは酷か。

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