スーパーの女


監督 伊丹十三
キャスト 宮本信子、津川雅彦、伊東四朗、三宅裕司
1996 日本

あらすじ スーパー“正直屋”を営む五郎は、近所に破格値が売りのスーパーがオープンし頭を抱える。そこで彼はスーパーに対する鋭い視点を持つ幼なじみをレジ係として雇う。

評価 ★☆☆☆☆

 ○○の女シリーズ第四作目にあたる作品。なんでも前作の「静かな生活」前々作の「大病人」がコケたために「絶対に失敗できない」と覚悟を持って挑んだ作品だとか。
 スーパーという身近な物を舞台にして一般人は知らないような内実を紹介して、タイトルも人気シリーズの○○の女。テレビに良く出てる人気者の俳優を使って、飽きさせないようにコメディ仕立てにして、ちゃんとカーチェイスでアクションも盛り込もう。ストーリーもあまり深く考えなくても楽しめるように勧善懲悪でいこうってな、ヒットさせようとしてるのが見え見え。
 商業的な方向に行っちゃった映画ほどつまらない物はない。
 ただし、最後の良心というか、さすが映画人というかラストシーンは一線を画している感じ。
 安かろう悪かろうのスーパーと、コストを度外視した理想主義的なスーパー。どちらが勝つのかはラストでは明示されていない。一応、宮本信子側のスーパーのほうが好調だったように描かれてはいるが、それが商売的にどうなのかは分からない。
 コスト無視して本当に儲かってるの?ってことだ。
 安売りは悪、というような感じで映画が進むが、結局宮本信子のスーパーはその後破綻してしまうのではないか。伊丹十三もそのことが分かってはいたが、そんな現実的で悲劇的なストーリーにしてしまっては映画はヒットしない。でも、宮本信子のスーパーに勝たせるのもどうかと。
 で、その結果が正月商戦では客が多く入ったがその後どうなったかは一切描かず、となったんじゃないだろうか。
 
 この作品はヒットさせるために作られた、いわば客にこびる作品だが、客に献身的に尽くすような話を題材に持ってくるあたり皮肉というかなんというか。

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